住宅ローン控除の借入上限が増える?ZEH(ゼッチ)ってなんだ?

住宅ローン控除の借入上限が増える?ZEH(ゼッチ)ってなんだ?

 

「ZEH」という言葉はご存じでしょうか?ご存じない方は読み方すらわからないと思います。※読み方はコラム本文内でご紹介します。

不動産会社であるe-homeのコラムなので、もちろん不動産関係の用語なのですが、最近徐々に知名度が増しています。ZEHはこれから自分の家を新築で建てることが視野に入っている方は知っておいて損はないワードでしょう。

リード文でなにも情報を提供していないので、さっそくZEHとはなにか、どのようなメリットがあるのか学んでいきましょう!

 

ZEHがなぜ注目を集めだしたのか?

 

2022年に住宅ローン控除制度が改正された際に、控除率の引き下げが特に注目を集めていましたが、改正の中に借入上限額を決める住宅の種類にも変更がありました。

以前の制度からあった「長期優良住宅・低炭素住宅」「一般住宅」の区分の他に、新築・買取再販の枠に「省エネ基準」「ZEH」という2つの区分が加わりました。

これらの新しい区分は借入上限額が一般住宅よりも優遇されており、控除が受けられる総額も大きくなっています。国としてはZEHを普及させたいから、それだけ優遇しているということです。

また、借入上限額が大きくなるということは、ZEH住宅の建設には一般住宅よりもお金がかかるのでは?という想像も働きます。

住宅ローン控除の分類

住宅ローン控除の分類

 

ZEHがなぜ注目を集めだしたのか?

 

前述の表の通り、住宅ローン控除制度の住宅の種類として挙げられているZEH以外の区分をみると想像がつくと思いますが、ZEHは住宅の環境性能に関するワードとなります。

肝心の読み方ですがZEH(ゼッチ)と読みます。これは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(net Zero Energy House)」の略で、「エネルギー収支をゼロ(以下)にする家」を意味します。ZEHは、家庭で使用するエネルギーと、太陽光パネルなどで発電するエネルギーを相殺して、年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家となります。【エネルギーの「使う量」-(「減らす量」+「創る量」) ≦ 0】という式がZEHの定義となります。

「高断熱」「省エネ」「創エネ」といった3要素がZEHの主な特徴であり、具体的には、生活で必要となるエネルギーを高断熱構造の採用や省エネルギー設備の導入によって減らし、太陽光発電などによって電力創出を行います。ZEH住宅は、エネルギー消費量を「減らす」、エネルギーを「創る」機能が求められます。

ZEH住宅として認定を受けるには以下の条件をクリアする必要がありあります。

  • 窓・屋根・外壁など外皮の断熱性を高め、UA値を0.4〜0.6よりも低くすること
  • 省エネ性能が高い設備を採用し、エネルギー消費量を20%以上削減すること
  • 再生可能エネルギー設備を導入すること(発電容量に指定はなし)

代表的な再生可能エネルギー設備といえば太陽光発電ですが、要件的には太陽光発電でなくてもZEH住宅となります。

ZEHの要件

ZEHの要件

 

ZEH住宅にはどんなメリットがあるか

 

政府は「2020年までにZEHを標準的な新築住宅に」という目標を掲げてたようです。その結果、2020年のハウスメーカーが新築する注文戸建住宅においては、約56%がZEHになったということです。そのため、ZEHを増やすためにも前述した住宅ローン控除の住宅区分に登場したのでしょう。

ZEHのメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  1. 高断熱で快適、健康
  2. 光熱費が安くなる
  3. 住宅ローン控除における優遇
  4. 非常時の電源となる
  5. 高く売却できる可能性がある

 

①高断熱で住環境が快適になり、健康にも寄与

 
ZEH住宅の要件でもある、断熱性の確保により外の気温が室内に影響するのを低減できます。その結果、室温が安定し夏は涼しく&冬は暖かい室温が維持しやすくなります。

また、冬場は暖房の効いたリビングから寒い浴室やトイレに移動した際に発生する、急激な温度変化によるヒートショックの予防やストレスの軽減にも貢献して、心身の健康にも寄与します。

 

光熱費が安くなる

 

再生可能エネルギー設備の導入によるエネルギーを受給自足や、高断熱性による冷暖房効率の向上、省エネ性能が高い設備の導入により、電力・ガスの使用量が減少します。これらの使用量減少にともない光熱費も安くあがります。

 

住宅ローン控除における優遇

 

前章で記載したとおり、ZEH住宅は一般住宅や省エネ基準の住宅よりも借入上限額が優遇されています。控除率は一定なので多く借り入れをした方が控除される金額は大きくなります。

借入には金利がかかるので、多く借りるのがいいのか悪いのかは一概には言えませんが、住宅価格の高騰が続く昨今においては、上限額が優遇されているのは心強く、選択の幅を広げることができます。

 

非常時の電源となる

 

発電設備を持つことで、通常の電力会社からの電力供給ルートとは別のルートを持つことができます。これは、地震などの災害や事故などによって電力会社からの電力供給が途絶えた非常に電源となります。

災害などの規模が大きくなればなるほど、電力供給の復旧には時間がかかります。自宅にエネルギー設備があることは、非常時に大きな助けとなる可能性が高いと言えます。

 

高く売却できる可能性がある

 

住宅の省エネ性能を評価する指標の一つに、一般社団法人「住宅性能評価・表示協会」の「BELS」という指標があります。ZEH住宅は、BELSで高評価を得られ、資産価値が高く見積もられることで、売却する際に高値で売却できる可能性があります。

 

ZEH住宅を建てるデメリットは

 

いいこと尽くめのようなZEHですが、反対にデメリットとしては以下の点が挙げられます。

 

初期費用が高い。

 

なんとなく想像がつくかと思いますが、第一にお金がかかることです。ZEH住宅を建てるには、新築時にプラス200~300万円程度の初期投資が必要になると言われています。

家の高気密・高断熱化、家のエネルギー消費量の見える化・電気設備の制御をするHEMS(Home Energy Management System)の導入、太陽光パネルの設置、エコキュートなどの省エネ設備など、通常の住宅よりも追加設備が必要となります。

 

発電設備にメンテナンスが必要。

 

太陽光発電システムをはじめとする、発電設備や省エネ機器を使っていくと、定期的なメンテナンスも必要となります。どのくらいの周期でメンテナンスが必要でどのくらいの費用となるのかを見積もって、積み立てておくといった対応が求められます。

しかし、光熱費の削減効果や、ZEH住宅が高く売却できる可能性を差し引いて考えると、長期的観点では初期投資のプラス費用やメンテナンス費用は十分回収できると考えられています。

 

間取りやデザインに制限が加わる。

 

断熱性能や省エネ性能のZEH基準を満たすために、家の間取りや使用する設備が制限される場合があります。太陽光パネルを設置した場合、屋根が重くなるので、耐震構造を維持するために窓を減らしたり、リビングなどの広い空間に壁を余計に作ったりするなどの対応が必要な可能性があります。

また、太陽光が当たる時間を確保するために、屋根の向きやデザインにも制限が加わります。デザインや間取りにこだわりがある方は特に大きなデメリットとなる可能性があります。

 

発電量が立地、天候に左右される

 

太陽光発電は、太陽光がパネルに当たることで電力を生み出しています。曇りや雨などの天候の悪い日や、日照時間の短い冬場は発電量が減少するため、常に安定した電力が生産されない可能性があります。

そもそも、日当たりが悪い立地の場合、十分な経済性が発揮できない可能性もあります。また、使用量よりも発電量が多く、電力が余った時は電力会社に電力を売ることができますが、近年売電価格は減少傾向にあり、昔のように電力売却で収益を得るのは難しくなっています。

このように、ZEH住宅にはメリット・デメリットがあります。ZEH住宅を建設、購入する際には、様々な要素を考慮した検討が必要となります。
また、ZEHは申請することで国から補助金を受け取ることができます。

ZEH性能を満たすことで「補助金55万円」の対象になり、中小工務店などによる木造のZEH住宅であれば「地域型住宅グリーン化事業:上限140万円」の対象になります。

補助金を得るためには、ZEH認定ビルダー・プランナーに相談し。設計してもらう必要があります。ZEH住宅を検討したい方は早めに不動産のプロまで相談することをオススメします。

 

住宅ローン控除の借入上限が増える?ZEH(ゼッチ)ってなんだ?まとめ

 

本コラムを掲載しているe-home株式会社は売買仲介業務だけでなく、リノベーションなどの内装についての知識と実績が豊富であります。また、民泊の住宅宿泊管理事業者として、民泊スタートアップから管理業務まで数多くのサポート実績があります。

クライアント様が物件ごとに会社を変更しなくてもいいように不動産のコンシェルジュとして、売買仲介から物件管理、リフォームまで幅広い不動産業務をカバーすることで、お客様から多くの支持を得ています。不動産に関するお悩みのある方はまずe-homeまでご相談ください!

 

  • 原慎之介(Shinnosuke Hara)
    原慎之介(Shinnosuke Hara)

    中小企業診断士。計測機器製造会社の情報システム部門に勤務する一方で、図書館ビジネス相談会相談員、創業塾講師といった創業・経営者支援から、雑誌・Web記事への執筆などの活動に従事。 趣味は、スポーツ&一人呑み⇒1歳の娘を溺愛に路線変更。不動産購入を機に不動産投資の世界へ!

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