不動産投資は物件を購入すれば終わりではありません。条件の良い物件を購入しても、安定した収入を得続けるにはさらなる工夫が必要です。
今回の記事では、不動産投資でキャッシュを残すための2つの方法を解説します。経費削減の方法も紹介するので、現在の収入に不満がある方、物件を購入したばかりの方はぜひ参考にしてください。
目次
不動産投資でキャッシュを残すには「経費削減」「空室期間の短縮」が肝心
不動産投資の強みは、賃料で毎月決まった収入が見込める点です。景気が変動しても、部屋を借りる人がいる限りは安定した収入が得られます。
しかし、物件の管理にかかる経費がかさめば、それだけ手取りが減ってしまいます。いかに経費を削減するかが、キャッシュを多く残すための課題といえるでしょう。
また、借り手がいなければ賃料は入りません。いかに空室期間を短縮するかも、キャッシュを残すためのポイントになります。
不動産投資で毎年かかる経費
不動産を所有するうえで、毎年かかる経費は次の2つです。
・固定資産税などの税金
・火災保険料
不動産には、「固定資産税」と「都市計画税」がかかります。1月1日時点の土地・住宅などの所有者が、1年分の納税義務者になります。
「固定資産税」は地方税で、納税先は土地や建物が所在する市町村です。
ただし、東京都23区内に所在する場合は、東京都に都税として納税します。対象は住宅用地・戸建て住宅・分譲マンションとなり、マンションを購入した場合も支払義務が発生します。
「都市計画税」も地方税の一種で、納税先は市町村もしくは東京都です。都市計画事業・土地区画整理事業を行う市町村が、「都市計画区域内」にある土地や建物などの所有者に、事業に必要な費用のための税金を課す制度です。
逆に、「市街化調整区域」・「都市計画区域外」の地域については、都市計画税はかかりません。所有する不動産がどの区域に含まれるかは、自治体・不動産会社に問い合わせましょう。
また、不動産を購入したら、万が一の場合を考えて火災保険に加入すると安心です。火災だけでなく、破裂爆発や風災、死亡事故などの損害もカバーできます。地震保険は火災保険とセットでなければ加入できないため、地震に備えたい場合も火災保険への加入が必要です。
不動産投資で毎月かかる経費
不動産を所有するうえで、毎月かかる経費は次の3つです。
・管理費
・修繕積立金
・PMフィー
「管理費」は、共用部分の点検・清掃、共有部分の水道料金・電気代、管理人の人件費といった日常的な業務にかかる費用です。建物の築年数が高いほど、費用が高くなる傾向にあります。また、資産価値の高いマンションなども、維持管理のために高い費用がかかるため、比例して管理費も高くなるでしょう。
「修繕積立金」は、マンションの外壁や共用部の定期的な修繕のために、毎月徴収されて積み立てられるお金を指します。建物が古くなるほど修繕に必要な費用が増えるため、段階的に積立金の金額が上がっていく傾向にあります。
PMとは「プロパティーマネジメント」の略で、賃貸物件の管理を指す言葉です。「PMフィー」は管理料を指し、通常は不動産業者が行う管理に対して支払う料金です。管理内容・料金は不動産会社によって異なります。一般的には、入居者募集業務・滞納督促業務・入居者のクレーム処理・設備修繕などが挙げられます。
物件を自主管理すれば、PMフィーの節約は可能です。しかし、会社勤めをしながら不動産投資をしている方など、自由になる時間が限られている方には難しいでしょう。管理が十分に行き届かないと、入居者が不満を感じ、空室につながる可能性も出てきます。家賃収入が途切れればキャッシュを残せなくなるため、本末転倒です。
無理のない範囲でできる経費削減を行いましょう。
経費を削減してキャッシュを残す方法
不動産所有に関わる経費のなかで削減できるのは、基本的に「火災保険料」と「PMフィー」の2つのみです。
「火災保険料」は、契約期間が長期のものを選ぶ、または一括で支払うと割引され、お得になります。ゆくゆくは不動産の転売を考えている場合でも、できるだけ長期間の契約をした方がお得です。契約期間中に転売し、火災保険を解約した場合は解約返戻金として戻ってくるからです。
解約返戻金の計算方法や、契約期間などは火災保険によって異なるため、保険会社のホームページなどで確認してください。また、内容や料金は変更になるケースもあるため、こまめにリサーチを行いましょう。
「PMフィー」は、不動産会社によって内容・料金などが異なります。料金が安くても、管理がずさんでは依頼する意味がありません。料金に見合った管理内容・状態かどうか、リサーチして決める必要があります。
管理会社の変更によって、PMフィーを削減できる可能性があります。また、交渉して料金を安くしてもらえるケースもあるため、検討してください。
空室期間を短縮してキャッシュを残す方法
物件が空室の期間は家賃収入が入らないため、できるだけ空室を作らないための工夫が必要です。2つの工夫を紹介します。
1つ目の工夫は「現在の入居者にできるだけ長く住んでもらう」ためのものです。入居者が不満を感じるのは、設備の老朽化やクレームへの対処の遅さです。設備が老朽化している場合は、できるだけ早めの交換を検討しましょう。
また、管理会社がクレームにすぐ対応してくれないようであれば、改善してもらえるよう働きかけてください。改善されない場合、管理会社の変更を検討するのもよいでしょう。
2つめの工夫は「空き室が出てもすぐに次の入居者が決まる」ためのものです。部屋の内装を少し豪華なものにする、単身者用に家具付の部屋にする、といった方法が考えられます。
また、不動産会社に「広告企画料」を支払う方法もあります。広告料・AD(アドヴァタイズメント)と呼ばれるケースもあり、通常の仲介手数料だけでは補えない、特別な広告を行う場合に必要な料金です。
不動産会社は、広告料が支払われている物件を優先的に紹介します。そのため、次の入居者が決まるまでの時間短縮が期待できます。
広告料は法的に上限が定められていません。一般的に、相場は家賃の1~2ヶ月分といわれます。しかし、引っ越しが多い時期は空室が埋まりやすいため、広告料の相場が低い、もしくは設定しない物件も少なくありません。時期や物件の場所によって変動するため、具体的な金額を不動産会社に確認するとよいでしょう。
どの方法も費用がかかるため、予算と相談して検討しましょう。
賃料を上げて収入を増やすには?
不動産投資で収入を増やすには、所有している物件の賃料を上げる方法も考えられるでしょう。空室を作らないための工夫として紹介した方法は、そのまま賃料を上げるための方法としても使えます。
内装に少し手を加えるだけでも、部屋の雰囲気を豪華にもおしゃれにも変えられます。あまり費用をかけられない場合は、手をかけるべきポイントを押さえましょう。例としては、コンセントカバー・照明器具・水栓の交換・玄関に鏡を設置する、などが挙げられます。
コンセントカバーや照明器具は、高い商品を選ばなくても、デザインにこだわればインテリアの雰囲気を変えられます。DIYでの交換も可能ですが、時間がない場合は業者に依頼してもよいでしょう。
家具や家電付の部屋であれば、その分初期費用がかからないため、身軽に引っ越せると単身者に好まれる傾向があります。
不動産投資でキャッシュを残すための2つの方法まとめ
不動産投資では、売却益を得るのはプロでも難しいといわれています。まずは家賃収入で、安定した収益を得るところからスタートするとよいでしょう。
不動産投資は物件選びも重要ですが、手取り収入を増やすためには工夫やリサーチも必要です。
また、現在加入している火災保険の条件や料金を見直す、PMフィーを削減できないか管理会社を見直すなど、できるところから始めてみましょう。